ヘルマン・ヘッセ『ペーター・カーメンツィント』要約
1.作者紹介
2. 作品の構成・登場人物紹介
3.本文解説(第1章)
ツイキャスにて配信したヘッセ『ペーター・カーメンツィント』の
要約を行おうと思います。
ネタバレを含みますのでご注意ください。
2.構成・登場人物
登場人物相関図
3.第1章解説
<書き出し>
始まりは神さまの物語だった。遠い昔、インドや
ギリシアの人びとの魂に宿り、またゲルマンの民の
魂に宿って物語を作り、みずからの世界を表現することに
努めた大いなる神は、今も子どもたちの心のなかで日々
新しい物語を作っている。
故郷の湖や山や川が何という名前なのか、
私はまだ知らなかった。だが、ひとたび
目を向ければ、そこには無数の光の粒がきらめく
青緑色のなめらかな湖面が広がり、そのまわりを
断崖絶壁の岩山が花冠のように取り囲んでいた。
山頂近くの窪みに残る雪は陽の光に白く輝き、
沢水は至るところで小さな滝となって
落ちていた。
ふもとに広がるなだらかな斜面の牧草地には
果樹が植わり、小屋が建ち、灰色のアルプス牛が
のんびりと草を食んでいた。
冒頭